K・SWJ通信 NO.9 2020.06.06 塾長モリ

~道場稽古3人で和気あいあい再開&「母指球と正中線」~


【稽古の様子】

 昨日6月5日、ヨシさんとドイちゃんと3人で、道場稽古を再開しました。マスクを装着して、窓を開け放って。稽古前の清掃、天津祝詞奏上、合氣道の精神奉唱、道歌斉唱の後、響き技、禊技、準備体操、そして当面は「組み手稽古」ではなく「型稽古(シャドウ稽古)」として、「基礎の技」である「正面打ち入り身投げ」を行いました。

 まず、「正中線を如何に保持したまま転換するか」を道場の鏡の継ぎ目を自分の正中線に合わせて、繰り返し、稽古しました。

 さらに「正面打ち入り身投げ」は「無刀取り」の代表的な技であり、相手が徒手ではなく太刀で打ち掛かってきたという緊迫感を持ってもらうために、木剣を用いて、自分で木剣を持ち、まず、相手方の木剣が自分の正面に打ち掛からんとする時に、正中線を保った入り身転換で、紙一重で躱して、「ゼロ化」する。

 次に、ゼロ化した木剣の握りの間に軽く手を添えて、ゼロ化を維持するとともに、もう一方の手を筈にして首根っこに当てて、前足を少し開いて、スペースを作り、膝を折り曲げ、腰を充分に落として、相手方の正中線を前斜め下方向に大きく「崩し」て不安定の極みの状態にする。

 そして、最後に、自分の正中線を軸にして、自らの体幹の捻りを利用して渦巻き(トルネード)を創り出し、その渦の中に相手方を巻込んで「導く」という稽古をしました。

 そして、同じ「正中線を保った入り身転換」からの変化技で、「正面打ち小手返し」、「正面打ち四方投げ」、「正面打ち呼吸投げ」を稽古しました。

 稽古後は、再開していた「餃子酒場」で盛り上げりました。

 6月9日火曜日には、ナカさんとジンさんも参加予定です。当面3密を避けるために、参加者5名を目途にしていますので、ほぼ上限です。ナカさんへの「五段位昇段祝い特製黒帯」の贈呈式も行いたいと思います。

【本日のヨシさんからのLINEメッセージ】

 昨日は有難うございました。「回転する時はぼしきゅうで回る。開祖の足袋はいつもぼしきゅうが破れていた」。初心者の頃奥村先生からそう教わって忠実に守って来ましたが昨日の稽古で踵も有りかと思いました。いい研究課題が出来ました。奥村先生は同時に武道では守破離が大事だ。皆さん離まで行くようにと諭されました。イナ先生はじめ皆さんから合気道の化石という渾名を謹呈されていたお方ですがシベリア抑留も体験されたあの時代の生き証人、素晴らしいお方でした😃 ヨシ 

 【モリからの返信メッセージ】

 こちらこそ、ドイちゃんとの2人稽古はありましたが、"3人稽古"は、本当に久方ぶりで、組み手稽古はしていないのに、全身の筋肉に、気力が巡って、一人で道場守りをしている時とは、全く違う心地良い疲労感を得られました。感謝感謝。

 さて、"母指球で回る"は、大切な事ですね。但し、それは"入り身転換"の様な回転の時の事だと思います。そして、"母指球で回る"ことは、決して"母指球を軸として回る"とは、言っていません。また、私は「踵で回る」ことをお勧めしている訳ではありません。

 私が何よりも伝えたいのは、"正中線を軸として、回転する事の大切さ"です。"自分の身体を恰も独楽の様に回す"ことの大切さです。独楽の回転する様を開祖は"澄み切り"と仰っています。

 独楽の芯を自分の身体に擬えると、それは正中線です。その正中線は、頭頂から丹田までは、体幹を真っ直ぐに貫く軸を物理的にもイメージ出来ます。しかし、独楽と違って、人間は、丹田から下は、左右の脚に分かれます。そして、もし丹田から左右どちらか母指球までを軸としようとすると、正中線が、折れ曲がってしまいます。これは駄目です。違います。

 独楽は回転させないと安定しません。澄み切りしません。しかし、人間は、左右の脚で安定状態を作れます。技的には、まず、ゼロ化して相手の物理的力の影響力をゼロにして、次に、崩しによって、相手の正中線を前後左右上下に傾けさせて、不安定状態の極みに追い込んで、自分は正中線をしっかりと保っている状態です。

 そして、此処から、独楽の軸を、物理的には存在しない軸を、イメージで、丹田から地面に対して、真っ直ぐに、伸ばし突き刺し、そして、頭頂から地面に突き刺した軸、即ち正中線を軸として、可能な限り、軸をズラさないようにして、体幹を捻って、回転力を発生させ、その回転力の渦巻きのトルネードの中に、崩れて不安定の極みにある相手を巻き込むのです。

 自分の身体と相手方の身体とが、"自他一体"となって、"敵をして、闘う心を無からしめ、さらに敵そのものを無からしむ"境地、"共に天地の大御心と一体化する"様に導くのです。

 ですから、敢えて言えば"渦巻きの回転の時には、脚も母指球も意識して居ません。そして何よりも意識しなければならないのは、正中線を地面に突き刺すことなのです。モリ拝