[NO.1]  片手取り・四方投げ・表

第1段階.ゼロ化技法

① 相手方が、逆半身で片手取りにくる。
 ※相手方は、力一杯、握り、押し込んでくる。

 

② 「パッ」と手から氣を放つ。取りは、この氣を放った瞬間に、手首の周囲が5mm程伸びて、相手方の攻撃力を弱めることが出来た(「ゼロ化の奔り」)ことを実感すること。
※相手方は、取りが気を放った瞬間に、自分の攻撃力が弱まったことを実感して下さい。

 

③ 握られた腕を「手刀」にして、その手刀を、自分の正中線に真っ直ぐに立てて、相手方の正中線に対して、「舟漕ぎのエイッ!」の要領で、丹田の上に人中路を乗せた体幹を膝の力で、相手方の方向へ押し出す。これによって、相手方の攻撃力が更に弱ることが出来た(「ゼロ化の進み」)ことを実感すること。
※「手刀」は、「刀の反り」を保持することによって、円運動によるゼロ化の源となる大切な要素である。決して「肘を曲げてはいけない」、刀が「折れて」氣の力を相手方へ伝達することが出来なくなるからである。
※相手方は、自分の攻撃力が更に弱められたことを実感して下さい。

 

④ 後ろ足を継足して、前足を進めながら、正中線とそれに連動させている手刀が、相手方の握り締め、押し込んで来た手腕と、自分の手刀の角度が90度になるまで、内側へ円動させる(「手刀による内側へのゼロ化」)。足は継脚する。この瞬間に、相手方の自分に対する攻撃力が徐々に弱まり遂には消滅する(「ゼロ化の完了」)。この消滅を実感して下さい。
 ※この時、正中線を相手方の正中線に拮抗させることによる拮抗力のバリア力は円動が進むに従って弱まるが、これに反比例して角度を付けることによる相手方の攻撃力を反り返えらせる、あるいは外させることによる「ベクトル的ゼロ化力」が強まり、遂には、90度になった時にはベクトル的ゼロ化力のみでゼロ化を達成している。

 

⑤ これが「片手取りに対する第1のゼロ化」である。片手を握り締め押し込んで来た相手方の暴力は、①~⑤によって、「消滅し」「力なく繋がっている腕」となり、自分への影響力はゼロになった。

 

⑥ ゼロ化を保持し続ける力は、丹田の上に正中線を真っ直ぐに立てて、その正中線に手刀をしっかりと連結し続ける氣の力である。

 

第2段階.崩し技法

⑦ 手刀に相手の手を繋いだまま、正中線の直立を確保したまま、手刀の反りの円運動を用いて、手刀の切っ先(手拳の人差し)を、体側から自分の眉間の真ん中にゆっくりと振り被る(体側から眉間への斜線軌道)。

 ※この時に、自分の正中線は真っ直ぐを絶対に確保することが大切である。繋いでいる相手方の手に意識が引きずられて、正中線が傾くと、ゼロ化が弱まり、切り返しを食らってしまうからである。崩しの完了まで、ゼロ化の力を相手方に及ぼし続けることが要点である。

 

⑧ この時に、反対の手の中三本の第二関節を相手方の繋いだ手が外れない様に引っかける。この引っかけた手の甲が自分の額にピタリとくっ付くまで振り上げる。

 

⑨ 相手方の繋がれた腕が外側上斜め後方へ引き摺られ、相手方の体幹は崩れ、時に軸足が浮き上がってしまう。「崩しの完成」である。


第3段階.導き技法

⑩ ⑧で手の甲を額にくっ付けたまま、半歩踏み出しながら、相手方の体の外方向へ自分の正中線を回転させる。
 ※⑩の「回転」の時に、手の甲が邪魔になる様な気がして、手の甲を額から外してしまうとゼロ化の力が弱まり、切り返しを食らってしまう。制御+の完了まで、ゼロ化の力を相手方に及ぼし続けることが要点である。

 

⑪ 相手方の背中が見える位置に自分の正中線を立てて、相手方の腕がくの字になり肘が上がっているので、相手方の腕が可動な方向に、手首を放さないようにしながら、膝を落としながら、足を継いで、導いてやる。
※相手の腕が不可動な方向へ物理的力で引っ張ることは厳禁である。相手方の腕を損傷したり、骨折してしまうことになる。合気道の精神に悖ることであり、絶対にしてはいけないことである。