NO.3     2018.08.02   「合氣道における呼吸」とは


                                    

K·SWJ N0.3 2018. 8. 2


「合氣道にお呼吸」         塾長 藤谷 

 

7月31日の稽古において、私が「口呼吸ではダメです。鼻で呼吸して下さい。」と話したところ、ミツさんから「どうして口呼吸ではダメなのですか?」と質問がありました。その時、私は、次のように答えました。「昔、イナ先生に閉じ質問をした時のイナ先生の答えは『息を吐き切った時が、攻撃を受ける と一番弱いタイ ミングです。口でスウハァやっていると、敵にこのタイミングを察知されてしまいます。だから鼻で、吸っているのか吐いているのか分からないように呼吸すべきなのです』と教わりました。」「しかし、私は、合気道における気と関係があると考えています。」「口呼吸では、吸った息は、喉を通り、下方向にしか行かない。」「鼻腔は上向きに通じており、鼻から息を吸い上げるのに合わせて、丹田から氣を引き上げ、その氣を、人中路を通して丹田に押し下げるのが、氣を養うためには必要だからです。」しかし、稽古を終えてから、どうも、この説明では、不十分であり、その原因は、私自身が、「合氣道における呼吸」とは何か、を究めていなかったからではないか、と思い至りました。開祖の合氣道についての言動や御心に関する、私のこれまでの拙い知見を基に 精一杯探求した、現時点での到達点を説明させて頂きます。ご意見、ご質問を頂ければ幸いです 。

  

 1.合気道における呼吸は、「空気を吸って、肺胞において、酸素を体内にと取り込み、肉体的に不要な二酸化炭素を排出するという生理的(肉体的)な呼吸だけではない。 

 「天地の心をもってわが心とし」「霊肉一体の至上境に至る」ために必要「霊気」を自分の肉体の内に取り込み、蓄積し 、養生し 、鍛錬し 、強化する ための「霊氣的呼吸」である。

 

2.口呼吸は、口腔から、喉、気管、気管支、肺、肺胞の聞の空気交換の動作に過ぎない 。これでは「霊氣的呼吸」は出来ない。

 

3.「霊気」は、心であり、イメージである。心やイメージは、「脳」において、生成され、養生され、強化される。「脳は、霊気の生成 ・強化工場」 である。 脳で生成された霊気は、「人中路」を通して「丹田」に蓄積される。蓄積され た霊氣は、脳との間を行き来して、鍛錬することにより、より強力な霊氣となり、また丹田に蓄積される。『丹田は、霊氣の貯蔵庫』である。

 

4.「霊氣的呼吸」の作法は、次のとおりである。まず、鼻から、「イチ、ニィ、サン、シィ一一ツ』と霊氣を吸い込み、全脳を巡らし、登頂まで吸い上げる 。次ぎに、霊氣を、脳から、人中路を通して、丹田へと、「イチ、ニィ、サン、 シィ、ゴォ、ロク、シチ、ハチ 、クゥ、ジュウ」とゆっくりと押し下げ 、押し込んで、収納していく 。 この時、このリズムに合わせて、鼻から、二酸化炭素を、漏らすように、少しずつ排出する。そして、最後に、「イチ、ニィ」と肛門を締める。

 

5.丹田は、臍下三寸の辺りにある、と言われる。私は、直感的仮説に過ぎないが、「小腸と大腸」なのではないか、と考えている。霊気的呼吸の作法の最後に、肛門を締めるのも、しっかり締めておかないと、 緩んだ肛門から、丹田の霊気が漏出するからである。

 

6.さて、霊氣的呼吸において、最も大切なことは、鼻から吸い込み、脳で生成・ 強化され、丹田において貯蔵される「霊氣の原素は何なのか」、ということである。それは、「天地(=大御神 オオミカミ)の心(=大御神の霊氣)」である。「私たちは、大御神の分御霊(ワケミタマ)としてこの世に存在しているのであるが、自我が強くなると、自分が分御霊であることを忘れてしまう。」「天上天下唯我独尊の個人ばかりになってしまうと、他人を暴力的攻撃により、屈服させ、傷付け、殺してしまうような人間が、世に多くなってしまう。」「そうすると、攻撃を受けた人間も、暴力的攻撃により、反撃する、暴力の無限連鎖が繰り返される。」「このような世の中において、合気道は、譬え暴力的攻撃を受けても、暴力による反撃により、相手を傷付けたり、ダメージを与えたりということは絶対にしない。」「何故ならば、合無道の精神(万有愛護の大精神)を身に付けた者は、暴力的攻撃を仕掛けてきた敵が、自分と同じ、大御神の分御霊であり、兄弟であることを知っているからである。」「そして、その者は、太御神(=天)の理法、即ち暴力的反撃によらずに、敵をゼロ化し、崩し、コントロールするという三段階理論的武技を身に付けているからである。」

 

7.この 「霊氣的呼吸法」を鍛錬すると、

① 「天地の心をわが心と」することが出来るようになる。

② 「万有愛護の大精神」を持つことが出来る。

③ 「自己の使命を完遂すること」が出来る。

④ 「自己に打ち克つこと」が出来るようになる。

⑤ 「敵をして戦う心無からしむ、否、敵そのものを無くする絶対的自己完成」を成し遂げら れる。

⑥ 「霊肉一体の至上墳に至る」ことが出来る。