K・SWJ通信 NO.11 ~合氣道における「礼」~ 2020.11.01

 

絆・勝稲和合塾道場の皆さんへ

絆道場を開いて既に2年以上が経ちます。当道場の稽古も「礼」に始まり「礼」に終わります。この「礼」について、皆さん、バラバラです。そしてそのバラバラの原因は、「手を付いて頭を下げれば良い」と考えているからだと思います。

2020.10.30の稽古をクマちゃんがFBの記事にしてくれたときに、「礼の作法」という言葉を使ってくれたのに触発されて、「合氣道の礼は、氣と正中線という合氣道の極意を鍛錬する根本的に大切な技である。」という気付きとして纏めました。

 「礼」を、合氣道の「基礎の技」として、しっかりと鍛錬しましょう。

                                                                        塾長モリ

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「礼」は、相手に対する感謝と尊敬の気持ちを表す作法ですから、「手を付いて頭を下げ」れば良いだけ、とも考えられます。しかし、「合気道の礼」は、それ自体が、「気」と「体捌き」の鍛錬です。

①先ず「丹田の気を鼻から静かに吐いていきます。」

②そうすると「丹田が凹み、正中線が自然と前方に倒れて行きます。」

③そうすると「両太腿の上に、力を入れないで、載せていた両手が、太腿から膝の方へ、自然と滑って行きます。」

★ここが一つのポイントです。"決して、意識して、肩や腕に力を入れて、手のひらを畳に動かそうと考えては行けません。"ましてや、両手で、畳に三角形が出来る様に、などと意識しては行けません。"そんな事をすると、肘を張って、脇が開いてしまいます。「手は"手刀"です。脇が開いて、力の入った腕は、手刀としては、無力です。」

④「膝頭を自然に滑り降りた両掌は、丹田の気が吐かれ、正中線が自然と十分に倒れると、本当に自然に美しい二等辺三角形を作ります。」

⑤「元に戻る時には、まず、鼻から静かに丹田に気を吸い込みます。」

⑥すると自然に正中線が起き上がり、それに従って両掌が膝頭から太腿の元の場所に戻ります。」

 これが「合気道の正しい礼の技」です。

 「攻撃を受けても、相手を決して傷付けないで、相手の力をゼロ化し、相手を崩し、和合に導く為には、自分の正中線は、絶対に崩してはならない。相手の正中線を、物理的な力ではな、気の力で崩す。」

 これが「合気道の極意」です。

「この自らの正中線を、自らの気の力で、倒す""こそ、相手方に対する最大の感謝であり、尊敬の表明、即ち""なのです。」

 だからこそ、「礼」は、根本的で大事な「合気道の鍛錬」である事をしっかりと意識して欲しいと思います。

 なお、「頭の垂れ方」には、二種類あります。「正面に!すなわち天地の神に対しての礼」は、首を折って深々と垂れます。「互いに!すなわち同志に対しての礼」は、首を水平に、頭も畳と平行にし、目線を四方八方に配ります。

 また、以上は、「座礼」を念頭にしていますが、「立礼」でも要点は同じです

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★ヨシさんとのやりとりによる「礼の極意の深化」2020.11.18-19

[ヨシさん]昨日は稽古とKSJWj通信NO11のご配信有難うございました。特に合気道における礼の哲理と形を分かり易く解説して頂いたのは画期的な出来事だったと思います。これを絆の憲章として今後遵守励行致しましょう😃

[モリ]"絆の憲章"ですか!そこまでは考えて無かったですが。ただ、この間から、ヨシさんと逆式腹式呼吸法の議論をしていますね。ヨシさんの方法によれば、"気を吐く時も腹を膨らませる"というのと、僕の"気を吐くと腹が凹む"という部分が、フィットしないので、悩んでいるのです😊😊

[ヨシさん]私の理解では逆式腹式呼吸法では、吸うときに上腹部を膨らませ、吐く時にそれを下腹部に押し込む(下腹部は膨れます)というものです。それによって胆田を鍛え胆力と集中力や感性を高めます。ですから通信を読んだ時も、最初は②に賛同出来ませんでしたが、自分でやってみて、礼の時には、吐きながら上腹部を凹ませるが下腹部は膨らませないし力も入れないことに気付きました。大発見でした 「礼」は、それ程例外なのだと悟りました。

[モリ]「倒してはいけない正中線を倒し」「凹ませてはいけない丹田を凹ませる」という、「合氣道における「自分」の2大原則」の例外意識して行うことにより、相手に敬意と感謝を伝える、これが「合気道の礼の極意」であり、「礼の技」なのですね

 

ヨシさんとの極意探究の共同作業の素晴らしさに、声も出ないくらい感動です。ありがとうございます😊😭

【K・SWJ通信no14】図解「仙骨」と「丹田」と「(心棒)正中線」 ※ 別添図解を正しいものに差し替えました。 20210317

 

◆「気のエンジンである気と丹田と心棒(正中線)」の動きを内観的に見て、「呼吸法」と関連付けた鍛錬法を提案しましたが、「内観」や「気と丹田と心棒(正中線)」は、「写真」には写らないので、些かチンプンカンプンの方々も。

◆しかし、その後、ヨシさんとクマちゃんと鍛錬・探求していて、内観的鍛錬法で言及している「呼気で丹田に押し下げた気を、仙骨を使って前方へ押し出す」という部分から、「仙骨」に気付き、前回の稽古では、正面打ち入り身投げの最後の「心棒を軸にして回転する」の部分で、ヨシさんが切れの良い回転をしている、どうしているのですか、と私が尋ねたら、ヨシさんが「仙骨で回転している」というので、私もクマちゃんも試してみたら、本当に軽やかにしかも気力溢れる回転力が生まれることに、気付かされました。

「仙骨回転法」なんて誰に教わったのですか?「いや自分で工夫しただけ」という会話を経て、20210312を「仙骨合氣道事始め」としましょう!ということになりました。

◆そもそも、「丹田」とか「正中線」とか、どこにあるのか、そもそも何なのか、はっきりしないものを後生大事にしてきた訳ですが、もやもやしていたのが偽らざる所です。

そこで、「仙骨」のことを沢山の図で調べてみると、「丹田」とは「仙骨に包み込まれた場所」であることがはっきりしました。そして、そこに「心棒(正中線の最も大事な部分)」を重ね合わせると、「呼吸法(気の操り方)」の説明が、単なるイメージ上の場所ではなく、具体的な「仙骨(の前の空間)」を意識して、可能になり、皆さんが鍛錬するときに、分かりやすいと思い、ここにお知らせします。

◆0316の稽古で、その日から指導の一翼を担ってくれた幹事長代行のクマちゃんが、「正面打ち一教」のゼロ化の動作に「仙骨押し出し」を組み込んでくれました。「仙骨合氣道」は各種技に適用できそうです。また、「三種の伸技」で、伸ばされる側が、上半身だけでなく、仙骨から伸ばされると、格段に、伸びる、気持ちよく骨盤から伸びることに気付かされました。

塾長モリ