K・SWJ通信

 

  K・SWJ通信は、Kizuna・Shoto Wago Juku の頭文字を冠した、塾長藤谷(もりさん)の「合氣道の精神に基づく合氣道」の探求の道程を綴ったものです。イナ先生が大変な労力を注いで私たちに発信してくれていたASWJ通信(Aikikai Shoto Wago Juku )の志を継ぎたいとの塾長の想いの結晶です。

 ここにおける「合氣道の精神についての探求」の成果を基にして、塾長は、「1・2・3合氣道」という合氣道の武技についての新しい解説を試みています。これについては、次のメニューに掲載を継続中です。

 プロとしての合氣道家ではなく、合氣道の初心者あるいは素人として仕事を持ちながらも合氣道の魅力に取り付かれた方々に、分かりやすく、しかし、合氣道の深い精神性までも理解して、稽古を行えるようにとの思いからです。

 私自身が、素人で、職業人として、38歳で合気道と出会い、合氣道の魅力の虜になって、29年間、職業人としてハードな仕事を熟しながら、技の稽古を積み重ねて来ました。一つ一つの技の熟練度は上がったかもしれませんが、「合氣道とは何か」については、色々な角度から、様々な先人の見解や資料などに触れて、バラバラで脈絡のない探求を深めていたに過ぎませんでした。しかし、開祖は余りにも大きく、深くて、自分とはかけ離れ過ぎて、到底、合氣道の本質について極めることなど不可能だろうと諦めていました。

 しかし、2018年2月5日、イナ先生の突然の訃報に接し、啓示を得て、イナ先生が2011年に閉鎖された旧道場を再興し、責任者となる決意をし、イナ先生が私に託して下さった「開祖の銅像のレプリカ」を見つめている時に、心の底から、「合氣道の本質」を極めたいとの強い想いが湧きました。

 そして、その探求のヒントは、なんと身近に、イナ先生が、旧道場で、稽古の前に必ず奉唱することを私たちに課していた「合氣道の精神」の中に隠されているのではないか、と思い至ったのです。

 合氣道の精神は、合氣道の原理を伝えたいとの盛平開祖の想いが凝縮したものです。しかし、「合気とは愛なり」という冒頭から、えぇっ!という意外感があり、(武道なのになんで愛なの?)という疑問符が心の中に湧き、「天地の心」って何だ?、「万有愛護の大精神」って何だ?、と疑問符の連続で、結局、何だかよく分からないお呪いのような捉え方をしている人のなんと多いことか。

 しかし、はっきり言います。「合氣道の精神」は、お呪いなどではなく、「合氣道の原理」を

簡潔明瞭に表現したものです。原理が分からないで、技ばかり増やそうとしても、本当の合氣道には辿り着けません。

 開祖は、全ての合氣道の武技を、合氣道の原理に基づいて、論理的体系的に、構築し、発明されたのです。ですから、まず、合氣道の原理をしっかりと理解すれば、合氣道の技のすべてが、簡単で、単純で、構造的な、しかし、人間についての深い愛情に基づいたものであることが分かります。その理解に基づいて、一つ一つの技、手足体の動かし方を稽古すれば良いのです。

 全ての武術について、考える稽古の重要性は知られています。しかし精神性の高い合氣道においては、合氣道の精神について考え、分かることは、合氣道を身に付けるために必須のことであると思います。

 このK・SWJ通信の記事が、皆さんが、合氣道の精神について考えるための道標になれば幸いです。私の探求と試みは、未だ緒に就いたばかりです。多くの方々からのご指導ご教導を衷心よりお待ちしております。

 

 西暦2019年4月3日

                           絆・勝稲和合塾道場

                             塾長師範 藤 谷 護 人